ネット・ゲーム依存症向けオンライングループ:FiSH(Field of Sharing Hearts)

ネット・ゲーム依存で難しさを抱える方を対象としたオンライングループFiSHの公式ブログです。ネット・ゲーム依存症の当事者や家族の方に向けて、オンラインイベントや依存症についての情報を発信していきます!

ネット依存と10年

 

ネット依存と10年、

そいつを今ここで全部書けっていうのは、

ちょっと無理な話だ。

ただどんな感じで過ごしてきたのか、

それについて書こうと思う。

 

僕にとってネット依存っていうのは、

みたいなもんだ。

最初にその沼に足を突っ込んだ時、

不快感の方が先にくる。

 

その不快感ってやつは、

例えば初めて学校をサボった時、

それもネットやゲームがしたくて

学校をサボった時、

 

そんな時はまず、

罪悪感とか、

何かいつもと違っておぼつかない、

さあこれでネットやゲームが

やりたい放題できるっていうのに、

どうも落ち着かないんだ。


でも、しばらくそうやって

ネットやゲームをやり続けると、

いろんな感覚が麻痺してくる、

 

さっきまで感じてたような

罪悪感とかそんなものは消えちゃって、

気持ち悪かった沼の感触に慣れてきて 、

なんだ悪くないじゃないか、

結構いいもんだと、

沈み込んでいくんだ。

 

そうやって沼での暮らしになれてくる。


沼の手触りや温度や臭いに慣れてきて、

ずっとそこに浸かっていたくなる。


そうなると、

たまに誰かが沼から引っ張り抜こうとすると、

「なんでそんなことするんだ」

「ここは気持ちがいいじゃないか」と、


なんでこんな良いところから、

俺を引っ張り出そうとするんだ

と、差し伸べられた手を突っぱねる。

 

それを何度も繰り返すうちに、

そのうち手を差し伸べてくれる人も

いなくなる

 

沼ってのは、

いつまでも呼吸ができるような場所じゃない。

浸かってる間にも、

徐々に深々と体は沈み込んでいく。


そして次第に息ができなくなってくる。

苦しくなってくる。

 

そうなった時に俺が選んだのは、

自ら深く沼に潜ることだった。


深く息を吸って、

底はあるのか、

その沼の中に何かないのか、

目をかっ開いて、沼の中に潜った。


でも、やっぱり、

いつまでも呼吸が続くわけじゃなかった。

苦しさが消えることはなかった


たまに沼から息継ぎに上がった。

そして体に纏わりついたその沼の泥や臭いを、

人には見せまいと振る舞った。

 

いつしか沼以外の場所は、

徐々に生きづらくなって行った。

こんなに嘘をついて、

自分を隠して、

生きるんだったら、

沼の方がいい

そう思うようになった。

 

俺の頭の中では、

パソコンを開くとき、

ゲームを起動するとき、

大きく息を吸って、

沼の中に潜り込む

そんなイメージができあがっていた。

 

何年も沼に潜って、

いつか底に辿り着かないものか、

何か光った綺麗なものはないのか、

探し求めた。


そして気付いた。

沼はどこまでも沼なんだと。

俺が沼の中で探そうとしてた光は、

沼から出ないと、

永遠に見つからないものだと気づいた。


そうなった時、

今まで暖かく感じた沼は、

ひどく冷たいところなんだと

ひどく静かなところなんだと

俺は独りなんだと

悟った。

 

そこから沼を出たいと思うようになって、

いろいろまあ足掻いたもんだった。

でも出れなかった。

 

何年も沼に浸かっていた体は、

冷え切って、

思うように動かなくなっていて、

沈むばかりだった。

 

気力もほとんど失われていた。

このまま沼の中で息絶える、

そんなものかと思うようになった。

 

そっからどうやって

ここまで来たのか、

正直あんまし分かっちゃいない。

ただそれなりに足掻いたことは、

無駄ではなかったと仄かに感じてはいる。

 

たぶん俺はラッキーだったんだ。

俺を引っ張り上げようとしてくれる

人たちに出会えた。

どれだけ泥だらけであろうと、

酷い臭いが沁み付いていようと、

まともに扱ってくれる人たちに出会えた。

同じように沼から出ようとして

苦しんでいる人たちにも出会えた。


そしてその人たちと、今も繋がっている

きっと俺が探してた光とか、

そういうやつの一つは、

繋がりなんだと思う。

 

オンラインっていう、

ラインに乗らないと、電波に乗らないと、

繋がることができない、

そんなものじゃ無く

 

」とか「友情」とか

そういう余りにも言い古されて、

言葉に出すのもダサく感じる、

類のものなんだと思う。


俺は今も沼から出たわけじゃない。

沼の上で沈みそうになりながら、

必死に踏ん張って、

ギリギリ立って生きてる。

そんなもんだ。


でも沼の中に浸かってる時より、

今の俺はずっと元気だ。

 

 

FiSHのリーダーうずぽんが、自身の10年を経て感じたことを、赤裸々に言葉にしてくれました。簡単に言葉にするのはおこがましいのですが、私には到底理解しきれない葛藤や苦しさを味わってきたんだろうなあと、心がずっしり重くなるのを感じました。家族でも、家族でなくても、同い年でも、年上でも、薄っぺらい関係ではなく、本音で語り合える仲間が側にいることが、依存症の回復の兆しになるのだと私も感じます。これを実感するのは今ではないかもしれないけれど、そんな今の積み重ねが、将来に少しでも繋がっていけば良いなという思いで活動をしています。

 

23日、FiSHのイベントを17:00~19:00で開催します。みなさんの参加を、FiSH一同、心よりお待ちしております🐟

 

ベニエ